プラントを構成する配管は、各種流体を移送するため、
縦横無尽に、延伸して・曲がって・分岐します。
配管自体は直線で最大長さも限られたパイプ材料なので、
延ばす・曲げる・分岐させるためには「継手/接手(つぎて)」と呼ばれる接続部材が必要になります。
様々な継手が存在しているため、種類と特徴を覚えるところから始めましょう。
接続方法が溶接かネジ込みか、樹脂配管のような接着・溶着かなどで
細かい部分は若干変わってきますが、接続方法については改めて解説します。
こんなにある、配管継手
配管継手の種類は、ビジュアルとセットで覚えましょう。
主要な継手は以下が参考になります。
(参考 : 株式会社フジトク 高圧管継手・管フランジ)
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 配管部品・吐出・塗布機器-継手)
かなり数があり、全てを一度に説明しきれないので、
まずは「配管を真っすぐ繋いで伸ばしていく」ための直行継手をまとめました。
上記の一覧のように、ビジュアルとセットで分かりやすく説明します。
直管を接続する継手の種類と特徴
両側にパイプをねじ込む・差し込む継手で、継手であるソケット側がメスとなります。
安価で手間の少ない継手ですが、頻繁に分解するような箇所には設けません。
両側にパイプをねじ込む継手ですが、ソケットとは逆で継手であるニップル側がオスとなります。
ソケット同様安価で手間の少ない継手ですが、頻繁に分解するような箇所には設けません。
パイプとパイプを繋げる継手。
中央のユニオンナットを締めることで接続します。
ユニオンナット部で分解が可能なため、ねじ込み配管が地獄にならないよう分解点を設けたり、
メンテナンス時に取り外す必要のある配管(機器類の近傍など)に設けたりします。
そのため、ユニオン周辺でスパナ等の工具が動かせるスペースの確保にも留意が必要です。
ユニオンのアタリ面にはOリングなどパッキン材を入れて漏洩を防ぎます。
パッキン材質にもよりますが、管材以外の耐食・耐熱の考慮が必要となるため、
高温高圧の系統には不向きです。
パイプだけではなく、ホースの接続などにも使われます。
日東工器のカプラがトップシェアであり、「カプラ」も同社の商標名です。
ソケットとプラグが対になった継手で、クイックジョインド、ワンタッチ継手などと呼んだりもします。
メーカ、型番が異なると互換性が無いものがあるので、注意が必要です。
容易に着脱が可能なので、ユーティリティのうち漏洩時のリスクが低い、
エアや窒素などの使用箇所で用いられることが多いです。
それ以外では、着脱頻度の多い燃料類や、薬品類のローリー受入れ箇所など。
(参考 : 日東工器 迅速流体継手「カプラ」)
ヘルール加工された管端部同士を突き合わせて
リング状の継手(クランプ)で囲い、締めこむ継手。
ネジやフランジでの接続よりも、分解が容易です。
ネジやシートガスケットと異なり、シール材がライン中に混入するリスクが低いため、
医療品や食料品のライン(いわゆる衛生設備=サニタリー配管)で採用されるケースが多いです。
クランプはフランジと異なり、漏洩時の増し締めが効きにくいため
高圧配管には不向きな点と、コストが高い点がデメリットとなります。
チーズ形状のヘルール管の端部に、にサイトグラスをクランプ継手で挟み込み、
ラインの内部を目視確認できるような製品もあります。
(参考 : 株式会社ナガセ サイトグラス機能キャップ)
配管端部につけた円盤状の板同士を、ボルトで締結することで接合する継手。
ねじ込みよりも高温・高圧に適用が可能で、耐圧や耐熱は規格により様々です。
フランジの間には、漏洩防止のためガスケットを挿入する必要がありますが、
ガスケット材質も耐熱性や耐食性などを考慮しなければならないので、
パイプ・フランジ・ガスケットそれぞれについて、耐熱・耐圧・耐食を網羅した検討が必須です。
(各材質の耐食性を調べる際は、以前に投稿した記事をご参照下さい)
フランジは最も主要な継手で、様々な切り口で規格や種類があるので、
それは別の機会で、フランジ編のみ個別でまとめたいと思います。
まとめ
配管継手のうち、直管を接続する以下の継手の特徴についてまとめました。
・ソケット
・ニップル
・ユニオン
・カプラ
・クランプ
・フランジ
ホームセンター等で一般的に取り扱いのあるものが多いので、
手に取って実際に継いでみたり、内部構造を理解すると理解がスムーズかと思います。
次回は、配管を曲げる・分岐する・口径を変える継手をまとめる予定です。
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑
下記の書籍が、配管設計初心者にもわかりやすくオススメです!
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