公害防止試験に必出!SOxとNOxの計測方法

公害防止管理者試験

公害防止管理者(大気関係)試験のいち分野である「大気特論」
13~15問目に出題されるのは、NOxおよびSOxの計測方法に関する記述です。

今回はそれぞれについて、過去問の出題傾向を踏まえて押さえたいポイントをまとめました。
試験では毎年必ず出題される分野で、確実に得点を稼ぎたい設問になります。

分析業務と直接関係が無くても、測定原理を知っていると
計器の選定トラブル時の計測値の正否判断などに役立ちます。
とくに後者は、計器から警報が出るような値が出た際に「計器が正しい値を測れているか」
をまず判断する必要があるため、計測方法の原理原則が分からないと対応の一歩目を誤ります。

最低限の基礎知識として身に着けておきたい内容です。
受験の有無にかかわらず、是非一度目を通して理解しておきましょう。

SOx計測方法の種類と特徴

SOxの計測方法は、その種類と干渉成分の正否を問う問題が頻出します。

それぞれの分析方法の原理原則に依り、干渉成分が異なりますが
個別の説明はここでは割愛し、星取表にしてまとめると、以下の通りです。



それぞれの詳細な分析方法については、JEMIMAのサイトの解説が
広くカバーした説明をしてくれているので、是非参考にしてください。
(参考:一般社団法人日本電気計測器工業会/JEMIMA 5-1-2 硫黄酸化物計測器

紫外線吸収法、紫外線蛍光法がよく取り上げられるため、
押さえておきたい頻出ポイントを4つ挙げます。
①紫外線吸収法、蛍光法ともに水分と二酸化炭素の影響は受けない
②紫外線吸収法と蛍光法の違いは、後者(蛍光法)は芳香族炭化水素などが蛍光を発するため干渉成分となる
紫外線吸収法の 吸光度 x 波長 のグラフから、SO2とNO2の波長が同じであるため、干渉する
紫外線蛍光法は装置構成の中に光源が不要。(だが、設問内の設備構成に光源(ランプ)の記述がある正否問題

NOx計測方法の種類と特徴

NOxの計測法については、化学発光方式に関する記述問題が頻出します。
化学発光法以外にも、吸光光度法、赤外線吸収法、紫外線吸収法などがありますが
圧倒的に化学発光法からの出題が多いため、今回はそこにフォーカスします。


各分析方法の詳細については、こちらもJEMIMAのサイトの解説が参考になります。
(参考:一般社団法人日本電気計測器工業会/JEMIMA 5-1-3 窒素酸化物計測器

化学発光方式では、NOとオゾンの反応で生じる化学発光強度を測定します。
NOxとして測定する場合は、コンバーターを用いてNOxをNOに変換します。
これによるNOx測定時の誤差が出てしまう要因を問う問題も頻出します。

押さえておきたい頻出ポイントを4つ挙げます。
CO2が共存すると、クエンチング反応で負の誤差が生じる。
オゾン発生器が性能低下すると、オゾンと反応しきらなかったNO分が測れないため、

 NOxが実際よりも低く測定される。
NOx-NOコンバーターが効率低下すると、NOに変換しきらなったNOx分が測れないため、

 NOxが実際よりも低く測定される。
NOとオゾンの反応で生じる光を計測するので光源不要

 (だが、設問内の設備構成に光源(ランプ)の記述がある正否問題)

NOx分析時の計測方法とNOx-NOコンバーターの要否についても付記しておきます。

まとめ

SOxとNOxの分析方法の種類と特徴について、
公害防止試験に頻出するポイントを押さえてまとめました。

分析作業を普段やらない方(私自身もそうです)には、あまり馴染みのない世界かも知れないので
試験勉強的には、上記の頻出するポイントを暗記的に抑えることが得点につながると思います。

他方で、頻出ポイント自体は測定方法の原理原則に影響を与える・NGな事象を問うものが多いので
頭の片隅にインプットしておくことで、何か計測器や分析値がおかしな挙動を示した場合に
「測定・分析自体が正しくなされたのか?」「予期せぬ形で計測・分析干渉が起きていないか?」

などに思考が働くと思います。

冒頭にも触れましたが、プラントで計測値の異常が出た場合に初手で抑えるべき
「その計測値は、正しく現実を測った結果なのか」です。
これを誤ると、全ての対策が明後日の方向に向かって出発しかねません。
焦らず急がす、まずは現実を正しく把握することが最重要です。

いよいよ週末は、公害防止試験試験間です!
基礎点固めとして、前々回は燃焼装置に関する頻出問題、前回は脱硫プロセスをまとめました。
その他にも、頻出される液体個体気体燃料それぞれの特徴もまとめてあります。
今回の記事を含めて、出題傾向がカチ合えば5~6点は固め打ちできます。
公害防止試験の大気特論は、9/15問正解で合格なので、上記の頻出分野はしっかり押さえましょう!

*投稿時は2023年度の試験直前ですが、今後もこの辺りは
 例年の頻出問題だと思うので、長くお役に立てると思います!

それではまた次回、⛑ご安全に!⛑


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マコト

産業系(食品加工/製鉄/特殊金属加工/電子部品/半導体)、化学系(化学製品/火力発電/バイオマス発電)、環境系(産廃処理/下水処理)など、多岐に渡る業界のプラントで、設計・施工管理・試運転・保守管理の業務全般を経験したプラントエンジニア。
様々な視点から、プラントエンジニアやプラント業界に関わる方にプラスとなる情報を発信したいと思います。

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