まずはここから!配管保温材の種類と特徴

プラント設計情報

配管保温材は、エネルギー効率を高め、配管システムを保護するために欠かせない要素です。

本記事では、グラスウールやロックウール、ポリスチレンフォームといった
代表的な断熱材の特徴や、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
また、外装材についても触れ、保温材を保護する重要な役割を担う各素材の特徴をご紹介します。

断熱材の種類と特徴

グラスウール

品質 : 繊維状のガラスを原料とし、断熱性は200℃が上限。
施工性 : 軽量で取り扱いやすく、様々な形状に加工可能。
コスト : 比較的安価で、コストパフォーマンスが高い。
デメリット : 吸水性があり、浸水や結露によって性能が低下する可能性があるので屋外施工では雨が天敵。
      雨水以外でも結露防止のため、必要に応じて各種の外装紙が付随した保温筒の採用がセットとなる。
      (アルミクラフト紙(ALK)・アルミガラスクロス(ALGC)・ポリ付アルミクラフト紙(ALKPE)など)



(参考 : 旭ファイバーグラス株式会社 建築内装・設備産業カタログ

ロックウール

品質 : 火山岩を原料とし、耐熱性はグラスウールより高い600℃が上限。
    耐熱性・耐火性から防火壁の仕舞いにも使われる。吸音性もあるので防音壁に使用するケースも。
施工性 : 比較的扱いやすく、形状も柔軟に対応できる。
コスト : グラスウールに比べやや高価。
デメリット : グラスウール同様、浸水や結露によって性能が低下するため防湿・防露が必要。
      また、施工中にボロボロと崩れやすい難点があるため固定方法も検討が必要。



(参考 : JFEロックファイバー株式会社 総合カタログ_ロックウールの特長

ポリスチレンフォーム

品質 発泡プラスチック素材で、軽量で断熱性能が高い。
   グラスウール、ロックウールと比べると、浸水や結露による性能低下が無い点がメリット。
施工性 : 軽量で加工がしやすく、施工も比較的簡単。基本的な部材は定型品の組み合わせで対応できる。
コスト : 中価格帯。断熱材としてのコストパフォーマンスは良好。
デメリット : 耐熱温度は上限70℃で耐熱・耐火性に劣る。
      また、定型のカバーはあるものの形状の自由度が他の断熱材に劣る。
      定型カバーの組み合わせとは言え、ヘッダー管などはなかなかのレゴブロック感があり手間。



(参考 : 関東ロックウール株式会社 パイプカバー施工例

その他の断熱材

カルシウムシリケート(ケイ酸カルシウム)
 :高い耐火性と耐熱性を持ちつつも、 撥水剤を添加して施工中の水気にものも。
  ただし、他の保温材よりも価格は高め。火力プラントや重化学工業プラントなどでお目にかかる機会が多い。
  (参考 : 明星工業株式会社 ケイカルエース・スーパーシリカ
ウレタンフォーム
 :断熱性能が非常に高く、施工性も良好だが、耐火性はやや低い。
  配管では採用されないが、壁面やタンク外面などは吹付けによる面的な施工が可能。
  (参考 : ウレタンフォーム工業会 硬質ポリウレタンフォーム

外装材の種類と特徴

カラー鋼板/亜鉛鋼板/ガルバリウム鋼板/ステンレス鋼板/カラーステンレス鋼板

品質 : 防錆も考慮した品質。配色パターンもバリエーションが豊富で、景観に合わせやすい。
施工性 : 比較的施工が簡単で、仕上がりも美しい。保温材によるが、防水を考慮した施工が必要。
コスト : 材質や配色の有無により幅があるため注意。
デメリット : 塗装の劣化によるメンテナンスが必要。塩害など環境によっては錆が発生する場合がある。

亀甲金網/鉄線巻き

品質 六角形の金網や細い、鋼線を使い断熱材の外部を固定する。
施工性 : 取り付けは手間が少ない。見た目が問題にならない隠ぺい部や、雨水にさらされない屋内などで採用される。
コスト : 鋼板よりも施工費が安く、適切な場所で使用すればメンテナンス費用も掛からない。
デメリット : 施工性の裏返しで、鋼板仕舞より見た目が悪く、保温材に対する防水性は全くない。

ラッピング/アルミガラスクロス原紙のまま

品質 : 断熱材を直接ビニールシートやアルミホイルで巻く方法。
施工性 : 簡単に巻き付けができ、特別な工具が不要。
コスト : 最も安価で、コストを抑えたい場合に適している。
デメリット : 耐久性が低く、長期間の使用には向かない。

各種のイメージ画像を 株式会社鈴木保温工業 さんのサイトで見比べられます。

その他の保温

バルブカバー

品質 : バルブ専用の取り外し可能な断熱カバー。高温や低温のバルブ部分に使用される。
施工性 : 取り外しが簡単で、メンテナンス時に便利。繰り返し使用可能。板金加工と異なり初心者でも施工が容易。
コスト : 初期費用は高めだが、再利用可能なため長期的なコスト削減が見込める。
デメリット : サイズが合わない場合は特注が必要で、初期コストが増加する可能性がある。

ポンプケーシングカバー

品質 : ポンプの外装部分を保護する断熱カバー。温度を一定に保つ役割を持つ。
施工性 : 簡単に装着でき、取り外しも容易。カスタム対応が可能。
コスト : バルブカバーと同様、初期費用は高いが長期的にコストパフォーマンスが良い。
デメリット : 特注のカバーはコストが高くなる場合がある。

(参考 : 株式会社ヤガミ 保温ジャケットのご紹介

おススメ動画

ラッキングカバーの細かい加工や、浸水を防ぐポイントなどは
以下のYouTube動画が非常に分かり易いのでオススメです。
保温工事を見たことが無い新人には「とりあえずこれ見て」と毎回紹介しています。

(参考 : 株式会社大島インシュレーション さん)

まとめ

配管の断熱・保護材料の選定は、システムの効率性と長寿命化に直結します。
それぞれの材料の特徴を理解し、環境や予算に合わせた適切な素材を選ぶことが重要です。
特に、耐火性や防水性、施工のしやすさなどの要素を考慮して、最適な選択を行うよう心掛けましょう。

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マコト

産業系(食品加工/製鉄/特殊金属加工/電子部品/半導体)、化学系(化学製品/火力発電/バイオマス発電)、環境系(産廃処理/下水処理)など、多岐に渡る業界のプラントで、設計・施工管理・試運転・保守管理の業務全般を経験したプラントエンジニア。
様々な視点から、プラントエンジニアやプラント業界に関わる方にプラスとなる情報を発信したいと思います。

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