まずはここから!軸受けの種類と特徴

プラント設計情報

軸受け(ベアリング)は、プラントエンジニアリングの中で重要な部品の一つです。
たとえば、回転軸のあるポンプや送風機コンベアベルトのローラー部分など、
軸の回転を支える箇所で使用されます。これらの機器では、適切な軸受けを選定することで、
摩耗や振動を抑え、機械の性能や寿命を大きく向上させることが可能です。

本記事では、初心者のエンジニア向けに軸受けの基本的な構造や種類
それぞれの特徴についてわかりやすく解説します。
これを読めば、軸受け選定の第一歩が踏み出せるはずです!

軸受けの構造と構成部品

  • 内輪(インナーリング)
    軸に直接取り付けられる部分で、回転軸を支える役割を持ちます。
  • 外輪(アウターリング)
    :内輪とともに軸受けを構成し、固定部(ハウジング)に取り付けられる部分です。
  • 転動体(ボールやローラー)
    :内輪と外輪の間に配置され、摩擦を減少させながら回転運動をスムーズにします
     ボールは点で接触するため、高速回転が可能で、摩擦が少ないのが特徴です。
     このため、ポンプや送風機のモーター部品など、スピードを重視する機器に適しています。
    :一方、ローラーは線で接触するため、重い荷重に耐える能力に優れています。
     そのため、コンベアローラーやクラッシャーのように、重い物を支える機器でよく使われます。


     ボールとローラーは、それぞれの特性を考慮して機器の用途に応じて使い分けられます。
  • 保持器(ケージ)
    転動体を一定の間隔で保持し、スムーズな動作を確保します。
     保持器には、転動体の種類(ボールまたはローラー)によって異なる設計が施されています。
    :ボールの場合、保持器は回転中の接触面積が小さいため、
     高速回転でも滑らかに動作できる構造が採用されることが一般的です。
    :一方、ローラーの場合は接触面積が大きいため、摩擦や熱が発生しやすく、
     それに対応するために頑丈で耐久性のある設計が求められます。また、ローラー型の保持器では、

     重い荷重にも耐えるために厚みや強度が重視される点が特徴です。
  • シールやシールド
    軸受けにグリースを封入する際に使用される部材で、潤滑剤を保持し、
     汚染物質や異物が軸受け内部に侵入するのを防ぎます。
     シールは主にゴムや樹脂製で、密閉性が高いのが特徴です。
     一方、シールドは金属製で、高温環境や耐久性が求められる場合に適しています

  • つば(フランジ)
    :特にローラー型の転動体を用いる場合に内輪側に設けられる構造です。
     このつばは転動体の軌道を制御し、特にアキシャル荷重を受ける際にその安定性を確保します。
     ただし、アキシャル荷重が過剰にかかると、つばに大きな応力が集中し、破損や摩耗の原因になるため、
     設計段階で十分な強度計算が必要です。

(参考:日本精工株式会社 玉軸受の構成と動き / Ball Bearing, its structure and rotation)

軸受けにかかる荷重

軸受けには主に2種類の荷重がかかります。

  1. ラジアル荷重
    軸受けの回転軸に垂直にかかる荷重。例として、水平に配置された回転軸にかかる力が該当します。
  2. アキシャル荷重
    軸受けの回転軸に平行にかかる荷重。プレス機や縦方向の力を支える構造で発生します。

軸受けの種類によって対応可能な荷重のタイプが異なるため、用途に合わせて選定が必要です。

軸受けの種類と特徴

以下に代表的な軸受けの種類を特徴とともに表形式で解説します。

軸受けの種類特徴対応荷重
(ラジアル)
対応荷重
(アキシャル)
メリットデメリット使用上の注意
深みぞ
玉軸受け
内輪と外輪の溝が深く、転動体を安定して保持高速回転に適し、取り扱いやすい高いアキシャル荷重には不向き過剰な荷重がかかると寿命が短くなる
アンギュラ
玉軸受け
内輪と外輪が角度を持つ設計で、アキシャル荷重に強い高剛性で精密機器に適応誤った取り付けで性能が低下する正確な角度で取り付けることが重要
自動調心
玉軸受け
自動調整機能で取り付け時のずれを補正設置精度が低い場合でも使用可能アキシャル荷重には弱い過度な振動環境では劣化が早い
円筒
ころ軸受け
ラジアル荷重に特化し、高荷重に耐える×高剛性で耐久性があるアキシャル荷重には対応しない潤滑油の管理が重要
円すい
ころ軸受け
円すい形状のローラーでラジアル荷重とアキシャル荷重を分散高荷重でも安定した性能を発揮設計が複雑でコストが高い組み立て時の正確な調整が必要
スラスト
玉軸受け
アキシャル荷重専用で、薄型設計が可能×軽量で高回転に対応可能ラジアル荷重には対応しない高回転での摩耗

まとめ

本記事では、軸受けの基本的な構造や構成部品、荷重の種類、各軸受けの特徴について解説しました。
軸受けは機械のスムーズな動作を支える重要な部品であり、適切な選定とメンテナンスが機器の性能や
寿命に大きく影響します。

初心者のエンジニアにとっては、まず軸受けの基本的な役割や特徴を理解し、
それぞれの用途に応じた適切な軸受けを選ぶことが第一歩です。

本記事で紹介した内容を参考に、実際のプラント設計やメンテナンスの場で活用していただければ幸いです。
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑



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マコト

産業系(食品加工/製鉄/特殊金属加工/電子部品/半導体)、化学系(化学製品/火力発電/バイオマス発電)、環境系(産廃処理/下水処理)など、多岐に渡る業界のプラントで、設計・施工管理・試運転・保守管理の業務全般を経験したプラントエンジニア。
様々な視点から、プラントエンジニアやプラント業界に関わる方にプラスとなる情報を発信したいと思います。

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