まずはここから!軸流/斜流ポンプの必須知識

プラント設計情報

軸流/斜流ポンプとは?

前回解説した渦巻ポンプ(遠心ポンプ)に引き続き、
今回は軸流ポンプ斜流ポンプについてまとめます。

軸流ポンプと斜流ポンプは、いずれも非容積式ポンプですが、
前回解説した渦巻ポンプ(遠心ポンプ)とは羽根車のタイプが異なります。
その構造と特徴について、それぞれの特徴を説明します。

詳細は後述の通りですが、大容量の移送に用いられるため
プラントにおいては海水や工業用水の取水や、発生量の多い排水の移送ポンプに適用されます。
身近なところでは上下水道や、農業用水用豪雨の際の雨水排水にも用いられ
インフラを支えている重要なポンプでもあります。

関連する主要メーカのお役立ちサイト情報や、初心者向けの書籍についてまとめました。

羽根車の種類/構造と特徴

ケーシング内での羽根車の回転により、遠心力を加えて吐出す遠心ポンプと異なり、
軸流ポンプでは吸込み・吐出しが軸方向に、斜流ポンプでは軸の斜め方向になります。

遠心ポンプのように遠心力を利用しないため、高い吐出圧は出ません。
軸流・斜流ポンプいずれも、低~中圧・大容量の移送に用いられます。

(参考 : 一般社団法人日本機械学会 機械工学辞典 羽根車

(参考 : クボタ環境エンジニアリング株式会社 ポンプの基礎知識 羽根車

(参考 : 日本機械学会 機械工学便覧

軸流ポンプ

軸流ポンプは、プロペラ型の回転羽根車固定案内羽根の組み合わせでできたポンプで、
住居用の換気扇などでよく見かけるものと同様の構造を持っています。

軸流ポンプは遠心ポンプと異なり、吸い込み・吐き出しともに水の流れが回転軸方向となります。
羽根車の翼断面が飛行機の翼と似たような形状をしており、

羽根車入口と出口の翼角度の違いによって生じる揚力を利用して水に圧力エネルギーを与えます。

大容量を移送できますが高い吐出圧力は出せないので、主に全揚程5m程度が目安です。
また、軸と羽根車の設置方向により、縦軸型横軸型の2種類があります。

(参考 : 株式会社酉島製作所 軸流ポンプ カタログ

斜流ポンプ

斜流ポンプは、羽根車から出た水は回転軸に対して斜め外方へ流れ出ます。
ベルマウス状の入り口と、その上部の羽根車部の膨らみが特徴です。

斜流ポンプの羽根車は、遠心ポンプと軸流ポンプの中間であるので、
遠心力と揚力の両方を利用して水に圧力エネルギーを与えます。
また、回転翼の角度を変えることで流量調整が可能な可動翼型もあります。

(参考 : 株式会社酉島製作所 縦軸斜流ポンプ カタログ

(参考 : 株式会社日立インダストリアルプロダクツ 可動翼ポンプ)

大容量の揚水動画

「大容量で低揚程」が感覚的に分かりやすい鶴見製作所のYouTube動画があったのでご紹介します。
斜流ポンプの据付工事の動画や、他の排水場での運転動画なども多く検索で出てきます。


各動画から、ポンプのサイズとそこから移送される水量はイメージが伝わりやすいと思います。
また、雨水排水用の大容量水槽から隣接する水路への移送、のように揚程が低いのも見て取れます


(参考 : 株式会社鶴見製作所 立軸斜流ポンプ(PSV型)納入事例)

まとめ

軸流/斜流について、それぞれの羽根車の構造と特徴についてまとめました。
軸流/斜流ポンプは大容量・低揚程で使用するポンプであるため、
プラント業界だけでなく、一般的なインフラにも多く用いられるポンプです。

今回紹介した、酉島製作所鶴見製作所の公式YouTube動画や、
クボタ環境エンジニアリングのポンプに関する知識まとめサイトなど、
各メーカごとに基礎知識~メーカごとの主力製品・技術がまとめられています。
初心者~若手プラントエンジニア向けな内容となっているので、ご一読されることをお勧めします。

また、軸流/斜流ポンプも含めたポンプ全般の「やってはいけないこと」
分かりやすい図解とともに説明している、初心者必読の書籍についてもご紹介します。
👇👇👇

ポンプ以外の「べからず集」については、過去の投稿でまとめていますので是非ご一読ください!
👇👇👇

次回も引き続き、ポンプ形式に応じた原理原則や、
関連するメーカの特徴と、勉強するのにおすすめなサイトなどを
ご紹介できればと思います。

それではまた次回、⛑ご安全に!⛑

マコト

産業系(食品加工/製鉄/特殊金属加工/電子部品/半導体)、化学系(化学製品/火力発電/バイオマス発電)、環境系(産廃処理/下水処理)など、多岐に渡る業界のプラントで、設計・施工管理・試運転・保守管理の業務全般を経験したプラントエンジニア。
様々な視点から、プラントエンジニアやプラント業界に関わる方にプラスとなる情報を発信したいと思います。

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