まずはここから!鋼管製造方法の種類と特徴(溶接配管)

プラント設計情報

今回は、鋼管の製造方法の種類と特徴についてまとめます。

鋼管は、製造方法により継目のある「溶接配管」と、
継目の無い「継目無し配管(シームレス管)」の2つに大きく大別されます。
製造方法とその配管の特性は、製造過程を知れば理解が紐づきます。

溶接鋼管の種類=鋼材の成形方法&溶接方法の種類で理解しましょう。

今回は前編として、溶接配管からまとめます。

(参考 : JFEスチール株式会社 カタログ 鋼管

溶接鋼管 全般について

配管は板状の鋼材をパイプ状に成形し、
継目部を各種方法により接合して配管を製造します。
主に溶接接合が主流であるため、ここでは「溶接鋼管」としてまとめます。

全般に共通する点として、継目部分が強度/材料的に弱いデメリットがありますが、
帯板を丸める製造工程なので、帯板厚の精度がある程度一定=配管肉厚の均一性が高いと言うメリットがあります。
ただし、曲げ加工が可能な板厚=配管肉厚には上限があります。

UO/UOE管

UO/UOE管

読んで字のごとく、プレス機を用いて板状の鋼材をU字状にプレス加工したのち、
さらにO字状にプレスしてパイプ形状に成形します。最後に、継目を溶接接合して配管として完成します。
U・Oはプレス機、Eは溶接接合後
口径整える拡管機(エキスパンダー/Expander)の頭文字です。

後述するスパイラル溶接管と電縫管は、主にローラーでの曲げ加工を伴うため板厚に制限が生じますが、
UO管はプレス機での成形なので、厚板を用いることで肉厚配管も製造できます。

(参考 : JFEスチール株式会社 製造工程 UOE管

スパイラル(アーク)溶接管

スパイラル(アーク)溶接管

電縫管と同じように、配管の延伸方向に溶接したものをストレートシーム管、
鋼板をらせん状に巻きながら溶接したものをスパイラルシーム管と呼びます。

前者は小~中口径、後者は大口径の製造に用いられますが、
小~中口径は電縫管、大口径はスパイラル溶接管という使い分けが一般的です。

スパイラルシームは溶接線が長くなるため生産速度は遅くなりますが、
溶接線が螺旋状なので全体で見た時に強度は高くなります。

また、UO管や電縫管(後述)がプレス機サイズやコイル鋼板幅によって
製造可能寸法(口径)に制約があるのに対し、スパイラル鋼管はより大口径管が製造できます。

(参考 : JFE大径鋼管株式会社 スパイラル鋼管の製造工程

電気抵抗溶接管

電気抵抗溶接

電縫管(でんぽうかん)とも呼びます。
トイレットペーパーのようにロール状に巻かれたコイル鋼板を、
「アンコイラー/Uncoiler」と呼ばれる送出し機を通すことで帯板状に連続排出していきます。

アンコイラーから送り出された鋼板は、多数のローラーにより曲げ加工されながら
延伸方向に沿ってパイプ形状に成形され、最後に繋ぎ目を電気溶接します。

UO/UOE管やスパイラル溶接管と比較すると、
製造可能な配管口径・肉厚の範囲と、コスト・品質のバランスが良いため
最もポピュラーに各ガス・液体ラインの配管に採用されます。

(参考 : 丸一鋼管株式会社 溶接鋼管の製造工程)

鍛接(たんせつ)管


鍛接(たんせつ)管

電縫管と異なり、高温に加熱した状態の熱延コイルをパイプ状に成形し、
高温状態のまま継目部に酸素ガスを吹き付けながら圧着します。
ざっくりですが、日本刀を鍛(きた)えるのと原理原則は同じです。

電気溶接、アーク溶接と異なり、継目部のビード処理が不要なのでコストが抑えられます
他方で、熱間加工の制約上、肉厚の均質精度や表面品質が電縫管よりもやや劣ります。

(参考 : JFEスチール株式会社 製造工程 鍛接鋼管
(参考 : 日本溶接協会 溶接情報センター 接合・溶接技術Q&A

まとめ

鋼管製造方法の種類のうち溶接管について
溶接鋼管の種類=鋼材の成形方法&溶接方法の種類にわけて

以下の4つをまとめました。

・UO/UOE管
・スパイラル(アーク)溶接管
・電気抵抗溶接管
・鍛接管


次回は、継目無し鋼管(シームレス管)についてまとめたいと思います。
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑

マコト

産業系(食品加工/製鉄/特殊金属加工/電子部品/半導体)、化学系(化学製品/火力発電/バイオマス発電)、環境系(産廃処理/下水処理)など、多岐に渡る業界のプラントで、設計・施工管理・試運転・保守管理の業務全般を経験したプラントエンジニア。
様々な視点から、プラントエンジニアやプラント業界に関わる方にプラスとなる情報を発信したいと思います。

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