プラントを構成する配管は、各種流体を移送するため、
縦横無尽に、延伸して・曲がって・分岐します。
配管自体は直線で最大長さも限られたパイプ材料なので、
延ばす・曲げる・分岐させるためには「継手/接手(つぎて)」と呼ばれる接続部材が必要になります。
様々な継手が存在しているため、種類と特徴を覚えるところから始めましょう。
接続方法が溶接かネジ込みか、樹脂配管のような接着・溶着かなどで
細かい部分は若干変わってきますが、接続方法については改めて解説します。
こんなにある、配管継手
配管継手の種類は、ビジュアルとセットで覚えましょう。
主要な継手は以下が参考になります。
(参考 : 株式会社フジトク 高圧管継手・管フランジ)
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 配管部品・吐出・塗布機器-継手)
前回・前々回の記事は👇です。今回は、口径を変える・閉止する用途の継手を解説します。
配管の口径を変える継手の種類と特徴
口径が異なる配管を接続する継手です。
大口径側がオネジ、小口径側がメネジとなっています。
レジューサー(後述)よりスペースを取らないメリットがありますが、
ネジ接続のため高圧高温のラインには不向きです。
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 ブッシング継手)
口径が異なる配管を接続する継手です。
形状で、同心レジューサと偏心レジューサに分かれます。
同心はConcentric(CON)と表記します。
前後の配管のCOP(Center of Pipe)が同じになります。
後述する偏心を用いるメリットを特に気にする必要が無い場合は
同心レジューサを用います。
(参考 : 富士アセチレン工業株式会社 レジューサー(同心/偏心))
偏心はEccentric(ECC)と表記します。
トップフラットの向きで付けるか、ボトムフラットの向きで付けるかで異なりますが、
前者であればTOP(Top of Pipe)を、後者はBOP(Bottom of Pipe)を揃えて口径変更します。
(参考 : 富士アセチレン工業株式会社 レジューサー(同心/偏心))
トップフラットの主な利点は、レジューサ内にエア溜まりが出来ないことです。
ポンプ入口などで口径変更する場合は、トップフラットの向きで偏心レジューサを用いることが多いです。
ボトムフラットの利点は、前後の配管でBOPが揃うためサポート施工が容易な点です。
また、蒸気ラインやミストを含む排気ラインなどは、トップフラットにすると下部に凝縮水が溜まるので
ボトムフラットでドレンを下部に集めて、下部から分岐を取って排出できるようにしましょう。
配管のBOP、TOPなどのレベル表記については👇過去の投稿を参考にしてください。
まずはここから!配管図ではレベルを適切に表記せよ!
チーズの説明で言及しましたが、チーズの規格外で
大口径配管から、小口径配管の分岐を取りたい場合はボスを用います。
(厳密には、継手と言うよりは溶接加工のひとつ)
ハーフカップリングでも分岐を作ることは可能ですが、
ボスは開先が取れているため、溶接後の強度面で有利です。
高圧ラインであれば後者を採用する方がベターでしょう。
(参考 : 株式会社梅沢製作所 ハーフカップリングについて)
(参考 : 株式会社梅沢製作所 ボスカップリングについて)
配管を閉止するための継手の種類と特徴
フランジ接手に対して、孔の空いていないフランジ板を接続することで管端部を閉止する継手。
閉止フランジ、ブランクフランジなどとも呼びます。
ブラインドフランジを使用する場合はガスケットが必要になりますので
長期的な閉止の場合はガスケットの寿命に依存することになります。
その管端部から将来的な分岐・延伸などの可能性が低い場合は、
キャップ(後述)溶接で仕舞する方が経済的にも保全的にもベターです。
逆に、将来的な追加改造の可能性や、テンポラリーな配管接続、
定期検査時などの清掃口などに活用したい管端部には、
ブラインドフランジを設けておくことで利便性が高まります。
メネジ切りされている管端部に、栓のように詰めることで管端部を閉止する継手。
例えの通り、栓継手とも呼びます。
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 配管プラグ)
ブラインドフランジと考え方は同じで、プラグ使用時にはシールテープが必要になるので
長期的に閉止する箇所で、特に将来的な分岐・延伸やテンポラリーな使用も無いのであれば
ネジ接続プラブとせず、キャップ(後述)溶接で仕舞する方がベターです。
ネジ接続なので、規格上は150Aが最大ですが、
小径配管で用いるケースがほとんどではないかと思います。
また、万が一漏洩があると、フランジ接続と異なり増し締めなどの手当てをしても
ネジ接続では漏洩が止まりにくいため、高温高圧配管では避けた方が良いでしょう。
オネジ切りされている管端部に、フタを被せるように閉止する継手。
溶接の場合は溶接用キャップ、樹脂管の場合は接着用のキャップを用います。
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 配管キャップ)
管材質にもよりますが、ネジ接続でプラグ・キャップ止めをすると
経年劣化による漏洩の懸念が残るため、特に用途の無い管端部であれば
溶接・接着キャップで確実に閉止仕舞いをしてしまう方がベターです。
まとめ
配管継手のうち、配管の口径を変更する・閉止する以下の継手の特徴についてまとめました。
▼口径を変更する
・ブッシング
・レジューサ
・ボス(*厳密には継手ではない)
▼閉止する
・ブラインドフランジ
・プラグ
・キャップ
ホームセンター等で一般的に取り扱いのあるものが多いので、
手に取って実際に継いでみたり、内部構造を理解すると理解がスムーズかと思います。
直管を繋ぐ、配管を曲げる、分岐する、口径を変える、閉止する。
様々なパターンの継手を3回に分けて解説しました。
解説した継手から、さらに細かく変形・派生したマニアックな継手もありますが
基本的な特徴と役割が分かっていれば、どのような時に利点があるものなのかは理解が早いと思います。
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑
下記の書籍が、配管設計初心者にもわかりやすくオススメです!
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