プラントを構成する配管は、各種流体を移送するため、
縦横無尽に、延伸して・曲がって・分岐します。
配管自体は直線で最大長さも限られたパイプ材料なので、
延ばす・曲げる・分岐させるためには「継手/接手(つぎて)」と呼ばれる接続部材が必要になります。
様々な継手が存在しているため、種類と特徴を覚えるところから始めましょう。
接続方法が溶接かネジ込みか、樹脂配管のような接着・溶着かなどで
細かい部分は若干変わってきますが、接続方法については改めて解説します。
こんなにある、配管継手
配管継手の種類は、ビジュアルとセットで覚えましょう。
主要な継手は以下が参考になります。
(参考 : 株式会社フジトク 高圧管継手・管フランジ)
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 配管部品・吐出・塗布機器-継手)
前回の記事は👇です。今回は、曲げる・分岐する用途の継手を解説します。
配管を曲げる継手の種類と特徴
配管の延伸方向を変えるための継手。
45°、90°、180°の角度が通常規格です。
やむを得ない理由で上記以外の角度付エルボを用いる必要がある場合は
端角度(はかくど)エルボという、任意の角度で切断したエルボを用います。
端角度エルボの具体的な設計・加工をとても分かりやすく解説されている
YouTube動画がありましたので、勝手ながらご紹介させて頂きます。
(参考 : 溶接工房ch)
また、曲げ半径の種類でロングエルボ、ショートエルボに分けられます。
ショートは曲半径=管外径ですが、ロングは1.5倍です。
ショートの方がスペースを取らず設計・施工も容易ですが、圧力損失はロングエルボの方が小さくなります。
使用頻度は低いですが、エルボで口径を絞る際は径違いエルボを使用します。
外見が由来で、通称「ひょっとこ」と呼んだりもします。
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 径違いエルボ)
成形品の継手ではなく、直管を曲げ加工した曲げ配管。
なので、継手ではありませんが、エルボとの比較の流れで解説します。
樹脂管は成形品としてベンド管を扱っているメーカもありますが、
鋼管の場合は任意の曲げ半径(R)での加工が可能です。
(参考 : 東北パイプターン工業株式会社 ベント管社内技術標準)
継手と異なり、接続箇所が無い点と、曲げ半径を大きく取れる=圧力損失が小さい点がメリットですが、
エルボよりスペースを取り、寸法変形や曲げた箇所の強度不足が生じる懸念がある点がデメリットとなります。
大口径では、斜めにカットした直管を継いで曲げ管にしたものを「マイターベンド(通称 エビ管)」と呼びます。
YouTubeに、製作過程をイチから動画にしてポイントを解説されている方がいらっしゃいました。
700Aともなると、見るからに大変そうです。こちらも、勝手ながらご紹介させていただきます。
(参考 : しあわせかにさん [90°エビ菅を作る]前編 700A水道異形菅製作 岐阜県各務原)
小口径ではパイプベンダーを使った冷間曲げ、
大口径では高周波熱を使った熱間曲げとなります。
それぞれ参考動画がYouTubeにありましたので、勝手ながらご紹介させていただきます。
(参考 : 機械と職人の金属加工チャンネル 本当は教えたくないパイプ曲げの極意。)
(参考 : 第一高周波鋼業株式会社 会社紹介映像)
配管を分岐する継手の種類と特徴
T字型で、3方向の接続口がある継手。
主配管から分岐配管を取り出すのに用います。
分岐配管の口径が、主配管と異なるものを「異径チーズ」と呼びます。
異径チーズの主配管口径 x 分岐配管口径 には規格がありますので、その範囲を外れて分岐配管を作りたい場合は、
パイプに穴をあけてハーフカップリングやボス(次回解説)を立てて分岐配管の取り合いを作る必要があります。
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 ステンレス異径チーズ)
Y字型でチーズと異なり、主配管が二股に分岐する継手。
真っすぐな主配管から、45°斜めに分岐を出したものを45°ワイ、ラテラルともいい、
分岐と主配管が同じ口径の同径ワイ、分岐が小径の異径ワイがあります。
分岐・合流時の水頭損失が小さいため、排水管の合流などでは45°Yが多く使われます。
(参考 : 株式会社クボタケミックス 45°Y)
十字型で4方向に分岐が取れる継手。
ユーティリティなどを多方向に分岐させたい時などに使われます。
各分岐への流量・圧力を常時均一にするのが難しいため
プロセスラインでの使用や、大口径配管には向きません。
(市場流通品も、~2インチ程度までが多い)
(参考 : 株式会社ミスミグループ本社 クロス継手)
まとめ
配管継手のうち、配管を曲げる・分岐する以下の継手の特徴についてまとめました。
▼曲げる
・エルボ
・ベンド
▼分岐する
・チーズ
・ワイ、ラテラル
・クロス
ホームセンター等で一般的に取り扱いのあるものが多いので、
手に取って実際に継いでみたり、内部構造を理解すると理解がスムーズかと思います。
次回は、配管の口径を変える・閉止する継手をまとめる予定です。
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑
下記の書籍が、配管設計初心者にもわかりやすくオススメです!
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