配管設計において、適切なレベル表記は設計・施工において欠かせない要素です。
この記事では、初心者向けに、配管図で表現する必要がある
Bottom of Pipe (BOP)、Top of Pipe (TOP)、Center of Pipe (COP)
などの表記方法と、その具体的な目的について詳しく解説します。
それぞれが、何のために・どこの寸法を示しているかを理解すると
その図面が示したい、設計・施工の際に注意しなければならない箇所が見えてきます。
また、設計者はその意図を図面に示すことができます。
意図がこもった図面を書く、そのための基本中の基本から始めましょう。
はじめに
正確なレベル表記は、配管の設計・施工において非常に重要です。
これから説明する、BOP、TOP、COPのほか、TOS、BOS、TOF、BOFの各要素は、
配管およびサポートの周囲との位置関係や、クリアランスを明示するためにあります。
これらの要素を考慮し、正確な表記を行うことで、
配管設計・施工の正確性と効率性を向上させることができます。
各レベル表記の意味と示す位置
それぞれの表記が、どこの・何の高さを表しているのか簡単な概略図で示します。
配管の上端の高さを示します。
配管の上部クリアランスがどの程度あるのか、吊りサポートの長さがどの程度になるのか、といったことを把握できます。
また、蒸気配管や保温配管で、鋼材サポート+シューがある場合、シューによる高さを+αさせる必要があるため、
注意が必要です。
配管の下端の高さを示します。
配管の下部クリアランスがどの程度あるのか把握したり、
並列する複数を支える下部サポートのレベルを揃えるために用います。
配管施工図では、このBOPを丁寧に表現すると分かりやすい図面になります。
(後述するCOPは、現実には空中線となるため、測定したり罫書したりできないため)
配管の中心線の高さを示します。
配管系に設置する弁・計器の取り合いや、チーズ分岐などの位置を把握することができます。
タンクやポンプなどと取り合うノズルも、機械図面側がCOP表記であることが多いため、
この寸法をもとに配管レベルを設計します。
以下は頻繁に記載することはありませんが、配管の設計・施工にかかわるレベルの考え方として
理解しておく必要があるポイントです。
フランジの上端の高さを示します。
クリアランスの無い箇所をルーティングする際に、上部の配管とのクリアランスを保持する必要があります。
フランジ分の高さを考慮しておらず、施工時に干渉したり、取り付けに難儀するケースがあります。
フランジの下端の高さを示します。
TOPと同じく、こちらは下部の配管とのクリアランスを示すのが目的です。
人の動線や、機器の搬入出路の上を通る配管は、BOPだけでクリアランスを設計すると、
フランジ下端が動線に干渉してしまうため、BOFで下部のクリアランスを見ておく必要があります。
サポートの上端の高さを示します。
配管設置時には、まず先にサポートが無いと配管を置けませんので、
シューなどが無い限りはBOP=TOSとして、その高さにサポートを設置します。
余計なアップダウンで、ポケット部を作らないルーティングがセオリーなので、
BOP=TOSを揃えて配管を引いていくのが原則です。
サポートの下端の高さを示します。
BOFと同じく、こちらも下部のクリアランスを示すのが目的です。
吊りサポートの配管ではBOFが、そのルートの再下端になりますが、鋼材サポートで配管下部を受ける場合は、
サポートの下端の高さで、その下を通る人間や搬入出機器のクリアランスが十分とれている必要があります。
まとめ
正確なレベル表記は、配管設計においてプロジェクトの成功に欠かせない要素です。
TOP、BOP、COPのほか、TOS、BOS、TOF、BOFの各要素は、
配管およびサポートの周囲との位置関係や、周辺のクリアランスを明示するためにあります。
初心者の配管設計者にとって、これらの要素を正確に理解し、適切に表記することは重要です。
正確な表記は、施工段階での高さ調整、他の設備とのクリアランス確保、サポート構造の設計、
機器との正確な接続など、多くの側面に影響を与えます。
これらはサポートの最適化にもつながるため、単純な材料費の削減だけでなく、
現地でのサポート工事量の削減(足場が必要になるような高所作業も含む)にもつながり、
工程や安全面でもメリットを作り出すことができます。
配管設計における注意すべきレベル表記は、
配管設計の基盤となる要素の一つであり、配管設計者にとっての必須スキルです。
正確さと効率性を重視し、適切な表記方法を実践することで、プロジェクトの成功に貢献しましょう。
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑
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