公害防止管理者(大気関係)試験のいち分野である「大気特論」で
11問目に出題されるのは、排煙脱硝プロセス・脱硝装置に関する記述です。
今回はそれぞれについて、過去問の出題傾向を踏まえて押さえたいポイントをまとめました。
試験では毎年必ず出題される分野で、確実に得点を稼ぎたい設問になります。
脱硝設備は比較的、プロセスと装置の特徴を結び付けて覚えやすいと思います。
また、LNGなどを除けば、燃焼装置があれば脱硝プロセスはなくてはならないプラントのいち設備です。
最低限の基礎知識として身に着けておきたい内容です。
受験の有無にかかわらず、是非一度目を通して理解しておきましょう。
脱硝プロセスの種類と特徴
酸化還元法(湿式)と電子ビーム照射法(乾式)は出題頻度が低いので割愛します。
その他の乾式脱硝プロセスの種類と特徴は以下の通りです。
活性炭はアンモニア存在下でNOxを還元する触媒になる。同時脱硫・脱硝が可能。
活性炭を脱離・再生して循環利用する装置とセット。
(参考:日鉄エンジニアリング株式会社 乾式脱硫脱硝設備)
アンモニアなどを還元剤としてNOxをN2に還元する。
脱硝率30~50%。運転温度900~1,000℃。
(参考:住友重機械工業株式会社 排煙脱硝装置(選択接触還元法/無触媒脱硝法))
*注:上記は、触媒層(中央の四角いBOX群)がある選択触媒還元法/NCRの概略図。
アンモニアを加えて、触媒作用でNOxを窒素と水蒸気にする。
脱硝率90%。運転温度250~450℃。
現状、国内では最も多い脱硝設備。
三菱重工のYouTube動画が分かりやすい。
(参考:三菱重工株式会社 排煙脱硝装置)
アンモニアではなく、尿素を還元剤に使う方法もある。
日本触媒のサイトではそれぞれの装置構成についてイメージ図有り。
(参考:株式会社日本触媒 脱硝装置)
アンモニア接触還元法の特徴
前述した脱硝プロセスのうち、国内で最も主流なのがアンモニア接触還元法です。
公害防止試験の大気特論でも、毎年必ずこれに関する特徴を問う設問が出ます。
アンモニア接触還元法の特徴に関して、設問に取り上げられる頻度が高い要素は下記の順です。
この6つの特徴は、必ず覚えておきましょう。この内容を一部変形させた正否問題が頻出します。
①酸化チタン(TiO2)の担体+酸化バナジウム(V2O5)の活性金属とした触媒を用いる。
(白金系触媒はSOxが触媒毒になるのでNG)
②脱硝反応では、一酸化窒素NOとアンモニアNH3が、1:1のモル比で反応する。
(4NO + 4NH3 +O2 → 4N2 + 6H2O)
③触媒形状は、圧力損失の小さいハニカム形状ないしプレート形状が用いられる。
④触媒寿命は一般的に5~10年で、より長寿命なのはガス燃焼ボイラー>石炭燃焼ボイラーである。
⑤酸化タングステン(WO3)や酸化モリブデン(MoO3)を加えると、硫酸水素アンモニウムの析出を抑制できる。
⑥還元剤はアンモニアだけでなく、尿素を利用したシステムも一部ある。
まとめ
排煙脱硝装置の種類と、アンモニア触媒還元法(SCR)の特徴の頻出問題をまとめました。
特に後者は、例年11問目が排煙脱硝に関する設問であり、その中でも高頻度で出題されるため
確実に得点を取れるチャンスにもなります。
いよいよ明日は、公害防止試験試験間です!
基礎点固めとして、以下の記事も是非参考にしてみて下さい。
液体燃料の種類と特徴
個体(石炭)燃料の種類と特徴
気体(LNGとLPG)燃料の種類と特徴
燃焼装置に関する頻出問題
脱硫プロセス種類と特徴
SOxとNOxの計測方法の種類と特徴
今回の記事を含めて、出題傾向がカチ合えば5~6点は固め打ちできます。
公害防止試験の大気特論は、9/15問正解で合格なので、頻出分野はしっかり押さえましょう!
*投稿時は2023年度の試験直前ですが、今後もこの辺りは
例年の頻出問題だと思うので、長くお役に立てると思います!
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑
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