公害防止管理者(大気関係)試験のいち分野である「大気特論」で
8~9問目に出題されるのは、排煙脱硫プロセス・脱硫装置に関する記述です。
今回はそれぞれについて、過去問の出題傾向を踏まえて押さえたいポイントをまとめました。
試験では毎年必ず出題される分野で、確実に得点を稼ぎたい設問になります。
脱硫設備は比較的、プロセスと装置の特徴を結び付けて覚えやすいと思います。
また、LNGなどを除けば、燃焼装置があれば脱硫プロセスはなくてはならないプラントのいち設備です。
最低限の基礎知識として身に着けておきたい内容です。
受験の有無にかかわらず、是非一度目を通して理解しておきましょう。
脱硫プロセスの種類と特徴
脱硫プロセスのうち、主流なもの2つについてまとめます。
使用する吸収液の違いで、石灰スラリー吸収法と水酸化マグネシウム吸収法があります。
(*ダブルアルカリ法、活性炭吸着法などは出題頻度が低いため割愛)
それぞれの特徴をまとめると、以下の通りです。
また、石灰スラリー吸収法は石こうの析出しやすいのが悩みの種で、
その点を抑えたpH管理方法や、スケール対策も続けてまとめます。
以下の2点が、頻出問題にもなっている管理ポイント。
①吸収液のpH管理
pH低 : 脱硫率が下がる。
pH高 : 脱硫率は上がるが、過剰吸収剤が必要で石こう品質が低下する。
よって、pHは中性域(6.0~7.0)で調整する。
②石こうのスケーリング防止
・吸収液に、あらかじめ石こうの種結晶を加える。
・吸収塔内部は、液のよどみの少ない単純構造とする
・吸収塔内部の構造物には、表面の滑らかな材料を用いる。
・吸収塔の下部に滞留時間の長い反応槽を用いて、吸収液の石こう飽和度を低く保つ。
・デミスターは運転中に定期的に水洗する。
石灰スラリー吸収法の装置構成の種類と特徴
石灰スラリー吸収法は、古くからある排煙脱硫プロセスですが
時代を経て、大きくいくつかに分類されるようになりました。
以下の2つの観点から、それぞれの種類と特徴をまとめます。
①酸化塔別置方式:酸化塔と吸収塔を別々に設ける。
②吸収塔内酸化方式:酸化塔は無く、吸収塔内で酸化を行う。
それぞれの特徴と、メリット・デメリットは下記の通り。
(参考:一般財団法人 電力中央研究所 電中研レビュー)
装置構成がシンプルで、硫酸添加が不要な吸収塔内酸化方式の方が
イニシャルコスト・ランニングコストともに安く抑えることが出来る。
①スート分離方式:冷却除じん塔が吸収塔の前段にある。
ばいじんを事前に除去するので、スート混合よりも石こうの品質を高めることが出来る。
石こうを分離したろ液は再利用できる。また、冷却除じん塔の洗浄排水は、腐食性の高い酸性水となる。
②スート混合方式:冷却除じん塔が無い。
吸収塔でSO2の吸収と一緒に、ばいじんも除去する。
装置構成がシンプルで、除じん塔が無い分イニシャルコストが安い。
スート混合かつ吸収塔内酸化方式が全体コストを抑えられるため、近年ではこちらが主流。
(参考:一般社団法人 日本エネルギー学会 機関誌えねるみくす)
まとめ
排煙脱硫プロセスと、脱硫装置構成に関する頻出問題のうち、以下をまとめました。
・脱硫プロセスの種類と特徴
石灰スラリー吸収法と水酸化マグネシウム吸収法の違い
石灰スラリー吸収法の管理ポイント
・石灰スラリー吸収法の装置構成の種類と特徴
別置酸化塔方式と吸収塔内酸化方式の違いと特徴
スート分離方式とスート混合方式の違いと特徴
いよいよ週末は、公害防止試験試験間です!
基礎点固めとして、前回は燃焼装置に関する頻出問題をまとめました。
その他にも、頻出される液体・個体・気体燃料それぞれの特徴もまとめてあります。
残りは「JISにおけるSOx/NOxの自動測定方法」をまとめて、
試験前の追い込み勉強のお役に立てる配信ができればなぁ、と思っております。
*投稿時は2023年度の試験直前ですが、今後もこの辺りは
例年の頻出問題だと思うので、長くお役に立てると思います!
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑
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