公害防止管理者(大気関係)試験のいち分野である「大気特論」で
5~7問目に出題されるのは、燃焼装置の特徴・腐食対策・すす発生防止に関する記述などです。
今回はそれぞれについて、過去問の出題傾向を踏まえて押さえたいポイントをまとめました。
試験では毎年必ず出題される分野で、確実に得点を稼ぎたい設問になります。
暗記的に覚えるのではなく、それぞれの燃焼装置の原理原則を押さえれば
燃焼装置の特徴・腐食対策・すす発生防止対策は横ぐしを通して理解が可能です。
最低限の基礎知識として身に着けておきたい内容です。
受験の有無にかかわらず、是非一度目を通して理解しておきましょう。
頻出問題は主に4つ
燃焼装置に関する頻出問題は、以下の通りです。
・油バーナーの種類と特徴
・ガスバーナーの拡散燃焼と予備混合燃焼
・高温腐食、低温腐食の原理と対策
・すすの発生のし易さとその対策
これらについて、まとめていきます。
油バーナーの種類と特徴
油バーナーは大きく分けて以下の種類に分かれます。
それぞれの特徴を表にすると以下の通りです。
公害防止試験では、特に火炎形状についての正誤を問われる問題が頻出します。
ガスバーナーの拡散燃焼と予備混合燃焼
ガスバーナーは、拡散燃焼式と予備混合燃焼式の違いについて正誤を問われる問題が頻出します。
それぞれの特徴を分かりやすくまとめてくれている表を引用します。
(参考:公益社団法人 自動車技術会 ENGINE REVIEW)
高温腐食と低温腐食
燃焼装置の高温腐食と低温腐食についての正誤を問われる問題が頻出します。
それぞれの特徴と対策は以下の通りです。
バナジウムアタック
高温で溶融したバナジウム化合物が伝熱面に付着することで生じる腐食。
ナトリウムが存在すると、ガス中のSOxと反応し硫酸ナトリウムとなり、腐食を促進する。
バナジウムアタックの対策
①伝熱面の温度をバナジウムの融点以下に下げる (約500-600℃以下)
②伝熱面の付着物を落とす (常用時はスートブロアの使用、定検時にスケール除去など)
③ドロマイトなどの添加剤を注入して灰の融点を上げる
④バナジウム、ナトリウムの少ない重油を使用する。
(参考:日本油化工業株式会社 バナジウムアタック防止剤)
低温腐食
燃料中のSOxが燃焼反応により亜硫酸ガスとなり、
水蒸気に溶けた亜硫酸ガスが凝縮して硫酸となり、伝熱面を腐食。
低温腐食の対策
①伝熱面の温度を酸露点以上にあげる。(約120℃以上)
②熱交換器内のガスの流れを一様にして、局部的な低温部を生じさせない。
③理論空気量に近い条件で酸素を燃焼し切る。(硫酸の生成量を減らす)
④酸化マグネシウム、ドロマイト、酸化亜鉛などの粉末を二次空気に混ぜて吹き込む。
⑤硫黄分が少ない燃料を使用して、SOx発生量を抑える。
(参考:株式会社MonotaRO 高温腐食と低温腐食)
すすの発生と防止
すすの発生量は、気体燃料 < 液体燃料 < 固体燃料 の順で多い。
更にその中での品質が悪いほどすすは増えるため、
LNG < LPG < 灯油 < 軽油 < 重油 < 褐炭 ~ 無煙炭 の順ですすの発生量が多くなる。
・燃料の炭素:水素の比(C/H)が大きいほど、すすが発生しやすい。
・ガスの拡散燃焼は、予備混合燃焼よりもすすが発生しやすい。
・重油燃焼は、起動時にすすが発生しやすい。
・重油燃焼では、重油の油滴が蒸発した後に残ったセノスフェアというすすが生じやすい。
まとめ
燃焼装置に関する頻出問題のうち、以下の4つをまとめました。
・油バーナーの種類と特徴
・ガスバーナーの拡散燃焼と予備混合燃焼
・高温腐食、低温腐食の原理と対策
・すすの発生のし易さとその対策
公害防止試験試験まで残り1週間です!
基礎点固めとして、残りは「脱硫プロセス」、「JISにおけるSOx/NOxの自動測定方法」
と言ったあたりをまとめて、試験前の配信ができればなぁ、と思っております。
*投稿時は2023年度の試験直前ですが、今後もこの辺りは
例年の頻出問題だと思うので、長くお役に立てると思います!
それではまた次回、⛑ご安全に!⛑
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