前編に引き続き、流量計の解説です。
前回は流路内に測定器を設ける流量計を取り上げましたが、
後編は逆に、流路内に測定器を設けないものをまとめました。
流路内に測定器を設けない流量計3種
以下の3つの流量計を解説します。
⑦質量式/コリオリ式流量計
⑧超音波式流量計
⑨電磁式流量計
全般に共通して言えることは、流路内に測定器が無いため
・圧力損失が生じない
・消耗品となる駆動部も無いため、メンテナンス頻度が少なく済む
というメリットがあります。
他方で、測定原理に基づいた個別のデメリットも多いため、
それぞれ適切にメリットとデメリットを理解したうえで採用可否を判断する必要があります。
それでは、個別に詳細を見ていきましょう。
質量式/コリオリ式流量計
流体の進行方向と垂直の方向にはたらくコリオリ力を測定することで質量流量を測定します。
質量を測るため、気体・スラリー・ガスを幅広く計測可能で、
応答性と精度の良さも兼ね備えた測定ができるメリットがあります。
デメリットは、流量計やその前後の配管の振動が大きいと測定誤差が生じ易い点と
流量計内の計測チューブの圧損が大きいこと、比較的高コストな点です。
また、ストレートチューブタイプは場所を取りませんが、
U字チューブタイプは計測チューブ部が垂れ下がるため、かさ張ります。
左:ストレートチューブ、右:U字チューブタイプ
(参考:東京計装株式会社 コリオリ質量流量計 MASSMAX)
超音波式流量計
流体に対して超音波を受発信し、流量を測定します。
跳ね返ってきた超音波の伝播時間差を計測する伝播時間差方式(トランジットタイム式)と
流体を通過した超音波の周波数シフトを計測するドップラー式があります。
配管の外側に後付けできるタイプが多く、
取り付けスペースも極わずかで適用できる口径範囲が広いのがメリットです。
リース品の取り扱いもあるため、試運転時などにも活躍します。
デメリットは、超音波の伝播に支障が出てしまうような箇所での使用ができません。
液体の場合は管路が満管でない、気泡が多いなどの箇所が該当します。
また、固形物やSS(懸濁物質)が多い液体にも不向きです。
気体の場合は、ダストやミストが多いと不向きです。
管路内が整流でないと測定誤差が生じるため、前後の直管長も必要です。
(参考:富士電機株式会社 超音波流量計 測定原理)
電磁式流量計
流路内に磁界を発生させ、その中を流れる導電性流体によって発生する起電力から流速を測定します。
「フレミングの右手の法則」は聞き覚えがあると思います。
磁界内の起電力を測るため、流体性質(温度/圧力/粘度)の影響を受けにくいメリットがあります。
また、固形物や気泡が多くても計測が可能です。
デメリットは、気体や導電率の低い純水のような液体は非検出のため使用できません。
また管路内が整流でないと測定誤差が生じるため、前後の直管長が必要です。
電気伝導率を測る電極が管内の接液部にあるタイプは、電極に被膜ができると測定不良になります。
(参考:愛知時計電機株式会社 電磁流量計の原理と技術)
まとめ
流路内に測定器を設けない流量計3種類について解説しました。
⑦質量式/コリオリ式流量計
⑧超音波式流量計
⑨電磁式流量計
全般に共通した留意点は
・圧力損失は発生せず、閉塞リスクもないメリットがある
・デメリットとして、個別の測定原理に応じた細かい測定の制約がある
の2点です。
前後編あわせて9種類の流量計を取り上げました。
それぞれの測定原理と、その特徴を理解することで、
どんな流体が来ても適切な流量計を選定できるようにしましょう!
流量管理はプロセス処理性能管理の基本のキ!
それではまた次回!⛑ご安全に!⛑
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