建築施工管理技士の第一次検定では、吸音・遮音に関する問題が頻出します。
本記事では、これらのテーマにおける重要な用語や概念を、試験対策だけでなく
実務にも役立つ形でわかりやすく解説します。
建築施工管理技士を目指す方はもちろん、
建築士試験の受験者や建築設計に携わる方にも有用な内容となっています。
これを機に、試験勉強と実務知識の両立を目指しましょう!✨

音の性質
音の単位と性質
音の強さと単位デシベル(dB)
音の強さはデシベル(dB)で表されます。
デシベルは、対数を用いて音の大きさを表現する単位であり、人間の聴覚特性に合わせた尺度です。
人間の耳は音の強さを線形ではなく対数的に感じるため、小さな変化でも大きく感じたり、
大きな変化でもそれほど感じなかったりします。
例えば、静かな図書館(約40dB)と日常会話(約60dB)の差は20dBですが、
人間には約4倍の大きさに感じられます。この単位は、電話を発明した
グラハム・ベルにちなんで名付けられました。
(参考:株式会社小野測器 技術レポート dB(デシベル)とは)
ラウドネスとマスキング
ラウドネスは人間が感じる音の大きさで、同じ音圧でも周波数によって聞こえ方が異なります。
低音よりも高音のほうがラウドネスが大きい傾向があります。
マスキングは、ある音が他の音で聞こえにくくなる効果で、
2つの音の周波数が近いほど効果が大きくなります。
音の合成と音圧レベルの関係
複数の音が合成された場合、音圧レベルは単純な加算ではなく、エネルギー的な合成で求めます。
例えば同レベルの音を出しているスピーカを2つ並べて合成すると、音圧レベルは約3dB増加します。
音源からの距離と音圧レベルの関係
点音源からの距離が2倍になると、音圧レベルは約6dB低下します。
音波としての性質
音波の回折
音波は遮蔽物の後ろへ回り込む性質があります。
低周波の音(波長が長い音波)の方が回折しやすいです。
音波の到達距離(気温との関係)
気温が高いほど、空気中を伝播する音の速さが速くなります。
一方で、気温が低い冬の方が音が遠くまで聞こえることがあります。
音の回折も含めて考えると、その理由が良く分かります。下記のコラムが分かり易いです。
(参考:ウェザーニュース 気温が関係あり?音が遠くまで聞こえる理由)
吸音と遮音
吸音と遮音に関する用語の定義
用語 | 説明 |
---|---|
入射音 | 音の入射面(壁や天井などの表面)に当たる音。 |
反射音 | 入射面に反射して戻る音。 |
吸収音 | 入射音を材料が吸収し、反射も透過もせずに 壁や天井の内部で消費される音。 |
透過音 | 入射音が壁や天井を通過して反対側に伝わる音。 |
透過損失
音が透過する際のエネルギー減衰をdBで表したもの。
反射音と吸収音の和であり、逆に言えば入射音と透過音の差となります。

(参考:一般社団法人 日本建設連合会 音響透過損失)
遮音等級(D値、L値)
建築材料や建具の遮音性能を示す指標です。
D値は音圧レベル差(Sound Pressure Level Difference)、
L値は床衝撃音レベル(Floor Impact Sound Level)に関する評価基準です。
D値は隣接する部屋の音圧レベル差なので、大きいほど遮音性が高くなります。
例えれば室内の話し声が隣室では聞こえない(音圧差が大きい)ことを示します。
L値は衝撃音レベルなので低いほど遮音性が高くなります。
例えれば上階の足音が聞こえにくくなることを表します。
(参考:TBSハウジング 遮音等級とは・遮音性の目安や注意点も解説)
壁の材質と透過損失の関係
壁の厚さ、密度との関係
厚くて密度の高い壁ほど透過損失が大きくなり、遮音性能が向上します。
特にコンクリート壁の場合、低温時より高温時の方が透過損失が大きくなる傾向があります。
壁の材質との関係
吸音材(グラスウールなど)を組み合わせることで、遮音効果を向上させることが可能です。
特にグラスウールは高音の吸収性が高く、厚くすると中~低音域の吸音率も向上します。
まとめ
音の性質や吸音・遮音の知識は、建築施工管理技士試験だけでなく、
建築士試験や実際の設計業務でも活用できる重要なポイントです。
基本的な考え方を身につけて、試験では確実に得点しましょう!
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