目指せ!建築施工管理技士 ~日照・日射・照明~

プラント設計情報

建築施工管理技士の第一次検定では、日射日照、そして採光・照明に関する問題が頻出します。
本記事では、これらのテーマにおける重要な用語や概念を、試験対策だけでなく
実務にも役立つ形でわかりやすく解説します。

例えば、日射量の変化や壁面方位と日照時間の関係、
さらに採光や照明に関する基本的な用語や昼光率の目安値まで、
実際の設計にも応用できる知識を具体的にまとめました。

建築施工管理技士を目指す方はもちろん、
建築士試験の受験者や建築設計に携わる方にも有用な内容となっています。
これを機に、試験勉強と実務知識の両立を目指しましょう!✨

日照

日照に関する用語の定義

日照時間
 実際に太陽光が地表に直接届いている時間を指します。

 日照時間が長いほど、建物内の自然採光や太陽熱を有効活用しやすくなります。

可照時間
 特定の日付において、理論上太陽が地平線上にある時間(日出~日没)を指します。
 建物や地形による影響を考慮しないため、日照条件を比較する際の基準値として使用されます。

日照率
 日照率は、「日照時間 ÷ 可照時間 × 100 [%]」で計算され、日照条件の良否を評価する指標となります。
 例えば、日照率が高い場所ほど太陽光を十分に活用できる可能性があります。

壁面の方位と日照時間(北緯35度)

壁面の方位ごとに、夏至、春分/秋分、冬至での日照時間の違いを以下の表にまとめます。

壁面の方位夏至春分/秋分冬至
07h 00m12h 00m09h 34m
07h 24m00h 00m00h 00m
東西07h 12m06h 00m04h 47m

北面では年間を通じて日照がほとんど期待できないため、断熱性能を重視した設計が重要となります。
 一方、南面では日射取得の効率を考慮した窓配置や庇の設計が有効です。

隣棟間隔

隣棟間隔は、夏至の日照条件を基準に検討するのが一般的です。
緯度における太陽高度の変化を考慮すると、以下のような傾向が見られます:

  • 緯度が高くなる(太陽高度が低くなる)ほど、南北方向の隣棟間隔を広く取る必要があります。
  • 隣接建物の影響を最小限にするためには、建物の高さや南向き窓の配置を工夫することが重要です。

例えば、隣棟間隔を適切に確保することで、冬季の日照を確保しつつ、
夏季の過剰な日射を遮蔽する設計が可能となります。

建築計画では、影の長さ(太陽高度に基づく)を基に計算を行い、
日照条件のバランスを取ることが求められます。

日照

日射に関する用語の定義

直達日射
 直達日射は、太陽から直接届く光を指します。
 雲や大気中の散乱がない場合に強く、影をくっきりと作る光としても認識されます。
 建築物のエネルギー効率や自然採光計画において、直達日射を活用する設計が重要です。

天空日射
 天空日射とは、太陽光が大気中で散乱された光のことで、全天から均等に降り注ぐのが特徴です。
 直達日射が遮られる日陰でも天空日射は存在し、明るさの確保に寄与します。

全天日射
 全天日射は、直達日射と天空日射を合わせたもので、ある地点で受ける太陽光の総量を示します。
 この値は、日射量の評価や設計計算における基準値として活用されます。

(参考:気象庁 日射・赤外放射 基礎的な知識

夏至と冬至における日射量の変化

日射量は、季節や方位によって大きく異なります。
以下は、北緯35度における水平面、南面、北面、東西面の
終日直達日射量を夏至と冬至で比較した表です。

壁面の方位夏至冬至
水平面(屋根)高い(最も強い日射)中程度(昼前後に限る)
南面高い(終日均等に近い)高い(昼前後に集中)
北面ほぼなしなし
東西面朝・夕に日射あり朝・夕にわずかに日射あり

ポイント

  • 夏至では太陽高度が高いため、水平面での直達日射量が最も多くなります。
  • 冬至では太陽高度が低く、南面での日射が集中します。北面にはほぼ日射が届きません。

ルーバーの使い分け

日射を適切に制御するためには、水平ルーバーと縦ルーバーの使い分けが重要です。

水平ルーバー

  • 主に南向きの窓に使用され、夏季の高い太陽高度に対応して日射を遮ります。
  • 冬季の低い太陽高度の日射は室内に取り込みやすいため、季節ごとの日射量を効果的に調整できます。
    (参考:株式会社竹中工務店 外付け水平ルーバー

縦ルーバー

設計のポイント

  • ルーバーの角度や間隔は、建物の地域や方位に応じて最適化する必要があります。
  • 動的に角度を調整できるルーバーを採用すると、季節や時間帯による日射量の変化に柔軟に対応できます。

採光・照明

採光と照明に関する用語の定義

光束(単位:ルーメン[lm])
 光源が発する全体の光の量を表します。光束が大きいほど明るさが強い光源を意味します。

光度(単位:カンデラ[cd])
 特定の方向に向けて発せられる光の強さを示します。
 スポットライトのように、狭い範囲に強い光を当てる場合に重要な指標です。

照度(単位:ルクス[lx])
 ある面に当たる光束の密度を表します。
 作業面や床面の明るさを評価する際に用いられます。
 例えば、読書用デスクでは500ルクス程度が推奨されます。

輝度(単位:カンデラ毎平方メートル[cd/m²])
 光源や光を反射する面がどれだけ明るく見えるかを示します。
 例えば、ディスプレイ画面や反射板の見た目の明るさを評価する際に使われます。

演色性(単位:平均演色評価数[Ra])
 光源が物体の色をどれだけ自然に見せるかを表す指標です。
 最大値は100で、太陽光に近いほど色の再現性が高いと評価されます。

グレア(単位なし)
 目にとって不快な眩しさを指します。
 例えば、夜間に対向車のヘッドライトが眩しいと感じる現象がグレアに該当します。

車のヘッドライトに例えると

  • 光束:車のヘッドライト全体が発する光の総量(どれだけ遠くまで光が届くかのイメージ)。
  • 光度:ライトが正面の道路に向けて発している光の強さ(どれだけ集中して光を当てられるか)。
  • 照度:道路面に当たっている光の明るさ(どれだけ明るく照らされているか)。
  • 輝度:ライトそのものの見た目の明るさ(ライトの光源を直接見たときの眩しさ)。
  • 演色性:ヘッドライトの光で見た道路標識や車の色が自然に見えるかどうか。
  • グレア:対向車のヘッドライトが眩しくて目を細めたくなる現象。

全天空照度(単位:ルクス[lx])

全天空照度は太陽の直射日光を除いた天空からの散乱光の密度を指します。
このため、晴天よりも薄曇りの方が高い値を示す場合があります。

  • 晴天
     太陽光が強く、直射日光が主に地表を照らすため、
     全天空照度は10,000~25,000ルクス程度になりますが、散乱光の寄与は比較的少なくなります。
  • 薄曇り
     雲が太陽光を散乱し、全方向から均一に光が降り注ぐため、
     全天空照度が晴天時よりも高くなることがあります(15,000~50,000ルクス程度)。

この特徴は採光設計において重要な考慮点となります。

昼光率(単位:[%])

室内の特定の点での照度が、同時刻の屋外照度に対してどれだけの割合を占めるかを示します。

  • 昼光率 = 室内照度 ÷ 屋外照度 × 100 [%]
    昼光率が高いほど、自然採光が効率的に利用されていることを意味します。
    一般的には3~5%程度が適切とされています。

昼光率を考慮した設計では、窓の大きさや配置、反射材の利用が重要な要素となります。
また、居室よりも事務作業をするオフィスの方が昼光率を高くする必要があります。

部屋の用途推奨昼光率 [%]説明
居室(リビングなど)0.7快適な自然光を確保し
過剰な明るさを防ぐ。
書斎・オフィス3~5適度な自然光で
集中しやすい環境を提供。
教室2.0読書や板書がしやすく
目に優しい光環境。
廊下・階段0.5移動のための最低限の
自然光を確保。
倉庫0.5~1.0自然光が少なくても問題ない空間。

まとめ

本記事では、日射日照、そして採光・照明について、
建築施工管理技士試験に役立つ頻出知識を解説しました。

それぞれのテーマで重要な用語や概念を整理し、表形式や具体例を交えながら、
実務や試験で活用できる知識を提供しました。

  • 日射
     直達日射や天空日射といった用語の定義に加え、
     夏至や冬至での面ごとの日射量の変化を詳しく説明しました。
     さらに、水平ルーバーや縦ルーバーの使い分けについても触れ、
     実務での応用を意識した解説を行いました。
  • 日照
     日照時間や日照率などの基本用語を押さえ、
     北緯35度における壁面方位と日照時間の関係を表形式で整理しました。
     また、隣棟間隔の検討では、緯度や季節による違いに言及しました。
  • 採光・照明
     光束や照度といった基本用語を、車のヘッドライトを例に直感的に理解できる形で解説しました。
     また、昼光率については各室ごとの目安値を表形式で示し、実際の設計における基準を明確にしました。

これらの知識は、建築施工管理技士試験だけでなく、
建築士試験や実際の設計業務でも活用できる重要なポイントです。

基本的な考え方を身につけて、試験では確実に得点しましょ
う!



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マコト

産業系(食品加工/製鉄/特殊金属加工/電子部品/半導体)、化学系(化学製品/火力発電/バイオマス発電)、環境系(産廃処理/下水処理)など、多岐に渡る業界のプラントで、設計・施工管理・試運転・保守管理の業務全般を経験したプラントエンジニア。
様々な視点から、プラントエンジニアやプラント業界に関わる方にプラスとなる情報を発信したいと思います。

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